フランスでママン 〜幼稚園の始まり〜
フランスではécole maternelleと呼ばれる幼稚園が、3歳になる年の9月に始まります。
いわゆる新年度、入園、新学期です。
école maternelleは保育園と訳される場合もありますが、私はécole=学校なので幼稚園かなと捉えて幼稚園と呼んでいます。
引越しがあり、9月の新学期にみんなと一緒に入園というのができなかったのですが、
秋休みが終わった11月の頭から、通い始めました。
なんと
娘は元気に通っています!
まだ一ヶ月しか経っていないので、様子見の段階ですが。
1.幼稚園の様子
新天地の幼稚園は、小学校まである学校の中にあり、園庭、食堂と新しい建物でとてもいい感じです。
家からも車で5分。
校長先生がまた面白い方で、面談時おっしゃっていましたが《良い意味で田舎の学校》という感じだそうです。
南仏で感じた勉強!学校!という感じのプレッシャーはなく、雰囲気がのんびりしています。公立だからというのもあると思います。
特に幼稚園セクションでは、子供に無理はさせないという感じが先生側にも親側にもあり、ホッとしました。
冬季は体調の問題でほとんど来ない子もいたり、水曜日は休ませることにしている子もいたりと、何曜日だけ来るとか、結構ゆったりしていてよかった。
というわけで、とりあえず娘は午前中だけ行かせることにしました。
8:45−11:45の3時間だけです。
13:15−16:15が午後の部です。食事を終えた子達がお昼寝をし、起き次第遊び、お迎えという時間割です。午後は様子を見て来年度からトライしてみてもいいので、この時点で大きなプレッシャーが取り除かれました。
見学した教室も明るく清潔で、楽しそうなおもちゃや道具があって、遊びたい!と思える空間でした。
名前の貼った引き出しや子供サイズの小さいハサミやが丁寧に整頓されていて、改めて、いろいろなことを習う場でもあるんだなと思いました。
うーん、すごく楽しそうです!
2.初日
ドキドキでした。
朝早起きというのも娘と私には慣れないので、朝まだ日が登っていない暗い中での朝ごはん。
両親の方が緊張しているので、娘も学校行きたくないとしきりに言います。口では行きたくないと言いつつも、娘は行ってみたいと思っていると私は知っています。
前向きな気持ちで、
「行きたくないんだね、でも今日はちょっと行ってみようよ」と返事。
登園し、教室の前でコートを脱ぎ、いざお見送り。
ここで大泣きを予想していた両親に反し、涙ひとつ見せず、興味津々で新しい世界に入って行きました。
頼もしい背中が忘れられません。
クラスは総勢16人、女の子は娘を入れて4人(!)。
昨年度はなんと37人もいたそうで、今年はラッキーでしたよと言われました。
maîtresse(先生)はCatherine先生。
プロ!な感じで、少し厳しそうですが優しい人なのがすぐわかります。
いい意味であっさりしていて、公平な目線で子供や親と接している感じなのもいいなと思いました。
初日でトイレの問題とか少し心配でしたが(もし万が一みんなの前でおもらししてしまったりしたらショックだろうなとか)、迎えに行ったらはにかんだ笑顔でやって来た娘。
楽しかったのがわかりました。
先生曰く「最後の方お片づけの時、片付けたくないと泣いたけど、それ以外は大丈夫でしたよ」とのこと。
よかったです!
3.その後
週末に風邪を引いてしまい、その後2日お休みしてしまいました。
その後は金曜日まで行き、その中で少し泣いてしまう日もあったりしましたが、本気で行きたくないという日はなかったです。
トイレも学校でしたよという日もあったり、どんどん頼もしくなっています。
その次の週は月から金曜日までフルで通いました。
まだ登園後、先生のそばを離れず、doudouと呼ばれるガーゼを顔に当てて、指示を待っているような娘。その姿は心細く、ガンバレ!と思いますが、こういう気まずい時期も乗り越えて、自分の居場所を見つけていくのですよね。他の子達は、教室内で自由に好きなことをして遊んでいます。きっとすぐ娘も自分でやりたいことを見つけて楽しめるはず。
木曜日は図書室に行く日だそうで、娘が初めて借りて来た本を週末みんなで読みました。
絵の具を使って絵画制作もあり、粘土や歌・お遊戯の時間などがあることがわかり、つくづく楽しそうです。
(学校で何をしたか連絡ノートでわかるようになっていて、しかも写真付きなのが嬉しいです。)
先生曰く、「彼女なりの性格があるわね。絵画の時間はやりたくないとぐずるから、少し強制しましたよ」とのこと。
指示に慣れていないから、反抗しちゃうんでしょうね。今までが自由だったからね。こうして少しずつ覚えていくのですね。
お友達の名前もちらほら出て来るようになり、何やら彼女の周りで繰り広げられているよう。
フルの一週間は、送り迎えしかしていないママの方がバテてしまって、一週間ってなんて長いんだ!と思いました。
娘も疲れていないだろうか?毎週水曜日は休ませても良いかもと思いました。
その次の週も結局フルで通いました。
水曜日にクラス写真があり、年に一回、写真館の人が学校に来て写真を撮ってくれる大事な行事。どんな表情の写真が出来上がってくるか楽しみ。
学校での様子はお迎えの後、昼食時さらっと訊ねてみますが、当然ながらあまり話してくれません。
学校という新しい世界で起こっていることが大き過ぎて、整理して話せるわけがないのでしょうね。
その代わり夜寝る前、一気に色々なことを思い出したように話してくれます。
週末中はなんと娘は「明日学校?」と聞いてくるほどで、すごいなあと思います。
この週は曜日の歌を習ったようで、家で歌って聞かせてくれました。月から日までフランス語でもう覚えた!すごい!
11月最後の週は、連日最低気温がマイナスですごく寒かったのもあり、風邪を引いてしまい、2日行っただけでお休みしました。
ある日学校でおもらしをしてしまったようで、先生にも気が付かれずズボンがぬれたまま外遊びをして、体が冷えたようでした泣
外遊び中に何かお友達とあったようで「泣いちゃったの」と娘が言っていました泣
この日を境に、母娘共少し弱気になってしまいました。
娘も学校に行かないで家にいる日が続いても、学校に行きたいとは言わず、おもらしの日のことが少なからず影響している様子。
娘も私も学校が始まってから3週間ビッシリ神経張り詰めて頑張ったのだと気がつきました。少し休んでもいいと思いました。
家で体力回復に努め、12月になった今、また学校に通い出しています。
4.娘の変化
どんどん新しいことができるようになっていて、本当に成長のスピードが急加速しています。
家でも着替えを自分でできるようになったり、ハサミを使ってみたり。
教えようとすると前は嫌がることもあったのが少しずつですが我慢強く聞いてくれるようになってきました。
一人遊びも上手になってきて、家でも一人で《ごっこ遊び》をしたり会話を作ったりしています。コミュニケーションを習得中なのでしょう。
体力的にも早起きとお昼寝とのバランスも取れてきて、慣れてきました。
トイレの問題も、家で失敗することが減りました。
それと同時に、おもらししてしまった頃また少し逆戻りしてオムツになってしまったり、全てが右肩上がりというわけではないようです。
河合隼雄氏も、「人間の心の成長は一定に右肩上がりで行くわけではなく、過程に必ず逆行する時期がある」と言っていました。
娘なりの葛藤があり、格闘しているんだと思います。
心配性な私は、過保護になり過ぎないように見守るしかないのですが。
私自身も親としてのあり方を考え、試されています。
5.école maternelleについて少し
フランスではママも働いている場合がほとんどなので、《幼稚園が始まるのは早くて大歓迎》な風潮があります。
crècheと呼ばれる託児所(保育園)やnounou(ベビーシッター)は有料なので、公立の幼稚園が始まるのが早ければ家計にも良いわけですし、
子供は楽しい時間を過ごして社会性や規律を身につけ、一石二鳥なわけです。
誕生月によっては2歳半ぐらいで早期入園ができる場合はそうさせる人もたくさんいます。
そうではない私はちょっと幼稚園始まるの早いよなあ〜と思ってここまでやってきました。
3歳になる年というのは、年度で考えられているわけではなく 1月〜12月の間で3歳になる子 というわけなので、
日本とは少しだけ違います。
例えば、娘は2013年12月末生まれなので、クラスの中では最年少。2016年9月の時点で2歳9ヶ月でしかありません。
対して、もし2013年1月生まれの子がいたら、その子はすでに2016年9月の時点で3歳9ヶ月です。
(まあ日本でも早生まれの人と遅生まれでほぼ一年の年齢差が出ることもありますよね)
オムツが外れていなければいけない条件もあるし、娘のような最年少組は、少し頑張らないといけない。
でも、みんなが通っている道です。フランス流育児はサクサク進んで行くんだなあという印象です。
私自身、日本の幼稚園は4歳から入園しました。4歳という年齢がよかったのか幼稚園に行きたくないと思ったことは一度もなく、本当に楽しかった思い出しかありません。
娘にも幼稚園時代はそういう感じで過ごしてほしいなあと願っていたので、
幼稚園に対して『行きたくない所』と思って欲しくない。早すぎる入園でそういうことになったらいやだな〜と思っていました。
周りの人も幼稚園に行くのが当たり前と思っているので、プレッシャーもありましたが、最終的に決めるのは親。そう思っていました。
娘は大層恥ずかしがり屋な性格ですが、これまで幼稚園に行くテーマの絵本を読んだりしていたので、彼女なりに準備ができていたというのもありました。
✳︎この本は本当に影響力ありました。言葉を覚えるのにも向いています。ある時期本当に大好きで毎晩この本と一緒に寝ていました。
この夏、お友達の影響やオムツ外れのモチベーションにもなったほど、学校に行ってみたいと思っていたのです。
子供は3歳頃で自分と他人の区別がついて、その頃からお友達と一緒に遊べるようになるそうです。
〝Je〟と言えるようになるのが目安だとも聞きました。
いつも見ている親になら時が来たことがわかりますね。
もしこれを読んでくださっている方でécole maternelle(幼稚園)に関しておなやみでしたら、一つだけアドバイスできることがあります。
無理せず、もし本当にまだ準備ができていないなら9月に焦って入園させなくてもいいということです。
école maternelleの段階では意外にゆるいことがわかりましたから、臨機応変で対処していけると思います。
12月のクリスマス休みまでは週一で通わせてみる、とかもできます(全てのécole maternelleには当てはまらないかもしれないですけど)。
何しろ先生方はプロですから、相談して一緒に決めるのがいいと思います。