フランスでのくらし 〜イタリアで夏休み〜

ポンテ・ヴェッキオ
8月のお盆休みに日本から母がやって来て、一緒にイタリア旅行に行ってきました。
今年還暦の母の、前祝いとして招待したのです。
母も私も娘も人生初のイタリア。
行き先はフィレンツェ、トスカーナ地方です。

フィレンツェという行き先にはずっと思い入れがありました。
大学に入ったばかりの時、西洋美術の授業でフィレンツェの大聖堂(ドゥオモ)のフレスコ『最後の審判』が取り上げられ、なぜだか忘れてしまったのですが大いに感動するところがあって、絶対に母に見せたいと思ったのでした。
社会人になったら母を連れてフィレンツェに行くんだと心に決めたのでした。
それが何年か後の今年、叶うことになって(たいして社会人をしてきてもいないのに)
すごく不思議でありがたい気持ちでいっぱいでした。

とっても楽しく、イタリアの太陽の下、カラフルな日々を過ごしました。

母は毎回飛行機のハプニングがある人で、今回はマルセイユ空港着のはずが、
なんとその日に発生した大火事のせいで隣の都市モンポリエに緊急着陸。
母は状況をわかってなく、空港で呼び出してもらい、なんとかモンポリエへ迎えに行ったのでした。

1日南仏でゆっくり過ごし、次の日にイタリアへ。

8月12日

早朝5時。
日本からのお土産のカステラを朝ごはんに、まだ寝ている娘をパジャマのまま車に乗せ出発。
目を覚ましてしまい、まだ真っ暗の中、何事かと思いながらも大人たちと一緒にしばらく早朝のドライブを楽しんでいました。
私も小さい頃、まだ暗い中車の旅をした時のことを思い出します。
ドキドキと、家族はみんな一緒だから楽しいぞというワクワク。

まずはピサを目指します。南仏からピサまで車で約7時間。
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イタリアの高速道路は、とにかく道幅が狭くて、トンネルの多いこと。
ビュンビュン高スピードで走るトラックが多く、運転経験の豊富な夫もお疲れ様でした。
途中、レヴァントの近くの村に降り立ち、コーラとレモネードの休憩。
休憩してからは意外にすぐピサに到着しました。
ピサと言っても、今回はピサから30分ほど離れた海辺の街Torre del Lagoというところに宿泊。
海辺のレストランで食べた遅めのランチのパスタボンゴーレの美味しかったこと。
娘も、ばあばと後部座席でワイワイして長旅を乗り切りました。着いて、本当にホッとしました。
その日はイタリアのスーパーへ買い出しに行き、イタリア語しか飛んでこない空間に圧倒され、
久しぶりに「全然わからないぞ、話が通じないぞ」という体験にこれぞ旅だと感動したのでした。

8月13日

翌日、たっぷり寝て元気回復した娘を見て安心。今日は車で30分ほどのルカという街へ。
ルカ
初めてのイタリアの旧市街にセンスの良いお店をたくさん見つけ、歩いているローカルの人々も気持ちよさそうで、この街をとても好きになりました。
ミッキーにも会えましたし。
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しかし、この後、なんと娘の乗っているベビーカーの中に、guêpe(と呼ばれるスズメバチの一種)が入って来て手を刺されました。
火がついたように泣き出した娘に、大パニック。
すぐapis mellificaというホメオパシーを服用させました。
蜂に刺された時の特効薬と聞いていて、いつも携帯していたのがついに初の出番でした。
すぐ薬局で殺菌作用のあるクリームを求め、泣いて暴れる娘を押さえ込み塗りました。
幸い、腫れもせず、1時間ぐらいショックで泣いていましたが、落ち着いたのでレストランでお昼を食べ、
デザートのジェラートの頃には笑顔が戻り、一件落着。
夫は小さい頃guêpeに刺された時、手が4倍ぐらいに腫れて治るのに4週間くらいかかったそうで、すごく心配していました。

その日の午後は海で過ごしました。

海が大好きな娘のために、そしてなんと私の母は約20年ぶりに海に入ったのでした。
同じ地中海で、フランスとも繋がっているんだなあと思いましたが、波が意外に強いのが印象的でした。
気持ちよかった。
その夜はピザのテイクアウトでした。ここでも店員さんに注文するまでに苦戦し、フランスではいつも頼っている夫でさえ頼れないんだったと思い、面白かったです。
個人的に人生で一番美味しいピザでした。

8月14日

ピサ
今日から泊まるフィレンツェへ向かう前に、ピサへ立ち寄りました。
有名なピサの斜塔を見てきました。
しかし、炎天下の暑さ、観光客の多さに圧倒され、すぐ疲れてしまった私。
お昼も観光客目当てのスナックバーみたいな所で済まし、ピサの街を堪能することなくフィレンツェへ。
日曜日だったこともあり開いているスーパーをやっと見つけ、買い出し。

宿泊先に到着し、今夜はばあばの作ったマッシュルームとベーコンのパスタをいただきました。

8月15日

Assomption(聖母被昇天祭)という祝日のため、フィレンツェの市内も静かかなと思いきや、
観光客も多く、お店も開いていました。
フィレンツェ
昼食したレストランがの隣の席に日本人のご家族がいました。このレストラン、美味しくてサービスも親切で嬉しかったです。

8月16日

張り切った1日でした。この旅の目的ドゥオモを見るには今日しかない!
まず、サンタ・マリア・ノヴェッラ教会を見学しました。
サンタ・マリア・ノヴェッラ教会
率直に言うと、この教会、美しすぎて、泣いてしまいました。
心が洗われるとはこういうことを言うのだなあと思いました。
母と来れて、本当によかったです。マリア様はやはり永遠の母だから。

そして、ドゥオモ。
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本名はサンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂。
並べばチケットはなしで入場でき、覚悟していた待ち時間もほぼなく、あっさり入れました。
授業で何を学んだか全く覚えていなかったので母には何も言えることがなかったのですが、何も言わなくても分かっているようでした。
遠近法のことで、母は自分で気がついていました。
娘も、八面のフレスコ画を見上げて、「C’est beau」(きれいだね)と言いました。
ずっと見ていたかったです。
首が痛くなるまで見上げて、後にしました。

感動した後、大聖堂の下のカフェで休憩したのもよかったなあ。
その後、サンタ・マリア・ノヴェッラ薬局で香水を買ってもらいました。ありがとう。
今日は娘はたくさん歩いて、ほとんどベビーカーに乗らずでした。

8月17日

トスカーナ
夫の情熱的な希望により、トスカーナ地方ドライブの日でした。
結果、素晴らしい1日になりました。ありがとう!
トスカーナの丘陵風景は、詩的で、ロマンチックで、どこまでも平和で、心いっぱい優しい気持ちで満たされました。
なぜこれほどまでに人々に愛される場所なのか分かりました。
モンタルチーノ、という丘の上の街が最高でした。
感謝の1日になりました。

8月18日

今日は事前予約していたウフィツィ美術館の日です。
予約時間にギリギリになったり、駐車場で一悶着あったり、汗をかいた日でした。
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美術館は、夫が絵画大好きなので、色々見方があるんだなあと思いましたが、何しろたくさん歩いて疲れていたし、娘と一緒で集中して鑑賞というわけにもいかず、今覚えていることってそんなにないなあというのが感想です。
ラファエロとか、ヴィーナスの誕生などをじかに見れて、とてもよかったのですけどね。写真を撮ってしまったから、記憶から消えてしまったのでしょうか。
フィレンツェ最後の日でもあったので、夕食をレストランで母にごちそうしてもらいました。ありがとう。
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最後、ミケランジェロ広場という丘の上からフィレンツェを見下ろす夜景を見て、少し切なくなりました。

8月19日

フィレンツェの宿泊先をチェックアウトし、このバカンス最終目的地ニースへ。
帰るのが嫌だなと思うほど楽しい夏休みでした。言葉の通じない、旅の非日常が終わってしまいます。
イタリアの高速道路、来た道をもう一回ということで気が引き締まる思いでしたが、帰りは行きより大分マシで、すんなりフランスに入国、ニースにたどり着いたのでした。
夕方、ニースの浜辺へ。約1ヶ月前に起こったテロの追悼の花束などがたくさん置いてありました。
海が大好きな娘は、長時間のドライブで疲れていただろうに、元気でまたみんなを笑わせてくれました。
ニース

8月20日

今日で母が最後の日です。ニースから少しモナコ寄りのビーチへ。
午前中から海水浴をし、みんな真っ黒に日焼けしました。
のどかで、イタリア語もちらほら聞こえるビーチでした。何も考えず、海水に浮かんでリラックスできました。
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そう遅くならないうちに引き上げ、夕方ニースの中心街へ。
最後のディナーを観光客の賑わうレストラン街でいただきました。
本当に、濃い9日間でした。娘もずっと大人のペースでよく毎日を過ごしたね。
お母さん、来てくれてありがとう。

8月21日

これで私たちの夏休みもおしまい。
ニース空港から日本へ経った母。
(なんと成田着陸時、台風上陸と重なりすさまじい着陸劇となってしまったそうです。飛行機のトラブルが無いことが無い母。お気の毒です。)
私たちは途中カンヌに立ち寄って、南仏の家に帰りました。夕方帰宅後、娘は発熱し、その日から2日間約40度近くまでの熱でした。
幸い3日目に引いて、徐々に風邪の症状に変わり、1週間で回復しました。
疲れもあったでしょうね。本当に、小さい体で頑張ったね。私たちの夏休みを彩ってくれて、ありがとう。
子供とのバカンスは、色々準備や何やら大変な面もあるけれど、大人の私たちも、もう一度子供の頃に帰れる機会のような気がします。
来年の夏も、また一緒に楽しいことをたくさんしようね!
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